美顔、痩身、体型、姿勢、皮膚、髪、発声等の包括的 同時治療法

*頭皮針の特徴と治療区の選定

美容の針治療の基本は、各美容の要素と関連する臓腑の生理作用を活用して治療することである。
頭皮針には、複数の臓腑の治療と、それらの臓腑と関連する精神、経絡、組織、器官の病気や美容上の問題を同時に包括的に効果的な治療ができるという特徴がある。

「額頂帯の前1/4(神庭)」 

  • 美容:顔面の中心線上の美容 眉間や額の皴、鼻の先端部の毛穴、顎から首の前面の弛みや皴、美白効果
  • 精神、身体の治療:精神安定、安眠、記憶力の向上、脳の疲労回復、鼻づまり、喉の痛み

「胸腔区(眉衝)上焦(心肺)の治療区」

  • 美容:皮膚全体の美白効果
  • 精神、身体の治療:皮膚病、気管支炎、喘息、多汗症、狭心症、心筋梗塞、精神安定、安眠

「額傍1帯(頭の臨泣) 中焦(肝胆脾胃)の治療帯」

  • 美容:皮膚のくすみ、美白効果、目の周りのクマ、しわ、シミ、吹き出物、リフトアップ、ほうれい線、細目が大きく丸く開く、浮腫みが取れて小顔になる。アトピー性皮膚炎の後遺症としてのくすみ、皮膚のあれ、バストアップ、膨らむ等の美乳、顔面、下肢、ウエスト、ヒップ等の全身の浮腫みや弛みが取れて体型が整う。
  • イライラした怒りっぽい表情あるいは精神的に落ち込みうつうつとした表情の改善、異常食欲、肥満、金切り声でせっかちな話し方、眠気眼で無気力な表情の改善、重たい口調の話し方、(外反母趾、O脚)の改善、(爪の変形、変色)の改善
  • 精神、身体の治療:視力の向上、嗜眠、頭重、身体が重い、全身的倦怠感や疲労感、膝の痛み、顎関節症、多汗証、(アトピー性皮膚炎、花粉症、喘息、慢性鼻淵)等のアレルギー体質の改善、生理痛、生理不順、季肋部痛、少腹部痛、冷えのぼせ、片頭痛、突発性難聴、肩こり、眼精疲労、ドライアイ、便秘、下理、便秘と下痢の繰り返し、胃、ゲップ、全身的筋肉痛

「前聶(しょう)帯(頷厭から懸釐への透刺)少陽経の経気の疎通」

  • 美容:顔面半分の美容に関する全要素に対する最強の表示法
  • 精神、身体の治療:片頭痛、顔面麻痺、三叉神経痛、口腔疾患、顎関節症

 

「頭皮針とのコンビネーションで使う体針の美顔治療の要穴:風池:少陽経の経気の疎通、 天柱:膀胱経の経気の疎通」  

  • 美容:顔面の美容全般、眼を中心とする表情の好転、禿

「美顔、痩身、体型、姿勢、皮膚、髪、発声等の一括同時治療法」

 「頭皮針の治療区の組み合わせによる新しい包括的美容法」

美容法の根本は、各美容の要素と関連する臓腑の生理作用を活用することである。頭皮針によって、美容や臓腑病、さらに、各臓腑と関連する精神、経絡、組織、器官の病気の治療が同時にできる。
以下の頭皮針の治療区を組み合わせて治療すると、精神、身体の健康法と同時に、美容全般に関して、包括的で同時に高い治療効果を出すことができる。

1)「額頂帯の前1/4(神庭) 顔面の中心線に作用、精神安定、記憶力向上」 

美容:顔面の中心線上の美容 眉間や額の皴、鼻の先端部の毛穴、顎から首の前面の弛みや皴、美白効果
精神、身体の治療:精神安定、安眠、記憶力の向上、脳の疲労回復、鼻づまり、喉の痛み

2)「胸腔区(眉衝) 上焦(心肺)の治療区」(頭針療法) 

美容:皮膚の美白効果
精神、身体の治療:皮膚病、気管支炎、喘息、多汗症、狭心症、心筋梗塞、精神安定、安眠

3)「額傍1帯(頭の臨泣) 中焦(肝胆脾胃)の治療帯」

美容:皮膚のくすみ、美白効果、目の周りのクマ、しわ、シミ、吹き出物、リフトアップ、ほうれい線、細目がパッチリ開く、浮腫みが取れて小顔になる、アトピー性皮膚炎の後遺症としてのくすみ、バストアップ等の美乳、顔面、足、ウエスト等の全身の浮腫みが取れて体型が整う。ヒップアップ、イライラした怒りっぽい表情あるいは精神的に落ち込みうつうつとした表情の改善、異常食欲、肥満、金切り声でせっかちな話し方、眠気眼で無気力な表情の改善、重たい口調の話し方、(外反母趾、O脚)の改善、(爪の変形、変色)の改善
精神、身体の治療:視力の向上、嗜眠、頭重、身体が重い、全身的倦怠感や疲労感、膝の痛み、顎関節症、多汗証、(アトピー性皮膚炎、花粉症、喘息、慢性鼻淵)等のアレルギー体質の改善、生理痛、生理不順、季肋部痛、少腹部痛、冷えのぼせ、片頭痛、突発性難聴、肩こり、眼精疲労、ドライアイ、便秘、下痢、便秘と下痢の繰り返し、胃痛

4)「額傍Ⅱ帯(頭維) 下焦(腎、膀胱)の治療帯」

美容:下半身の浮腫み弛み
精神、身体の治療:腎、膀胱、生殖器に関係する病気

5)「前聶(しょう)帯(頷厭から懸釐への透刺)頭顔面部の少陽経、顔面の半分の疎通」

美容:顔面半分の美容の全要素に対する表示法としての最大の治療効果
精神、身体の治療:片頭痛、顔面麻痺、三叉神経痛、顎関節症、口腔内疾患

 「頭皮針の手技のポイント」

  • 額頂帯1/4の神庭、胸腔区の眉衝、額傍1帯の頭の臨泣、額傍Ⅱ帯の頭維の取穴位置は髪際の上方5分であるが、針の刺入位置は各経穴の位置より2~3分上方から下方に向けて刺入し、経穴の位置を針が通過するようにする。針先が髪際から額部に2~3分突き抜けるようにする。刺入の深さは約1寸になる。
  • 頭皮針の治療区は、5分くらいの幅の帯状になっている。その帯状の範囲内に適当に刺針しても治療効果が出ない。その帯状の範囲内で、経穴や治療区の反応が溝状あるいは窪み状になって現れている。そのような反応点、反応線に、1~2ミリ程度の誤差の範囲内で、正確に刺入することが大切である。
  • 反応線の溝に正確に刺入すれば、何かをひっかけているとか、何かに当たっているというような感じがなく、するするとスムースに無痛で刺入できる。そのような時にのみ高い治療効果が期待できる。
  • 刺針後、数分間、置針すると、針尖の周りに気血が集まってくるので、針尖の感覚が虚から実の感覚に変化して重くてきつい感覚に変化してくる。
    気血が針尖に満ちてきた状態で、雀啄法の瀉法を30秒~1分間施す。30分間程度の置針時間中に数回手技をする。虚証の場合は、置針することなく補法にする。虚実夾雑の場合は、先瀉後補にする。あるいは瀉法にして、その後、体針で補法をする。
  • 置鍼時間中に、運動針にしたり、局所のマッサージをしたり、深呼吸をすると、より高い効果が得られる。
    置針時間中か抜針後に、顔面やウエストや下肢のマッサージや運動をすると、気滞や湿邪の停滞が取れて全身的に細身になる。
  • 美容のための治療帯の選定は、中焦の額傍1帯は必須であるが、その他は必要に応じて追加して行く。
  • 頭皮針単独の治療でも、十分な治療効果が出るが、体針の弁証取穴や局所取穴と組み合わせても良い。

    たとえば、肝胃不和の場合、額傍1帯(中焦)と太衝、足三里の取穴を組み合わせてもよい。また、目尻の小皺に対して、前聶(しょう)帯と目尻の小皺の始まりから太陽までの透刺を組み合わせてもよい。

 

「姿勢、体型の治療」

1)O脚の治療

O脚の人は、胆経が実証で引きつり、肝経が胆経との相対的関係において虚証で弛緩している。
とりわけ股関節、膝関節において、肝胆の虚実のギャップを解消することで治療ができる。
頭皮針で、額傍1帯(中焦の肝胆脾胃)に刺針して肝胆の虚実を調整する。
体針で、陽陵泉に瀉法、曲泉に補法を施し、膝の肝胆経の虚実の調整を行う。
また、頭皮針で、百会から45度斜め前方の通天に透刺する「頂結前帯」と、手針の第4指と第5指の間に刺針する坐骨神経点を使って、股関節の緊張を緩める治療をする。
さらに、頂聶(しょう)帯(前頂から頭維にかけての溝状の反応線)の下肢に相当する前頂寄りの1/3の部分に刺針する。
このような治療をすると、それまで歩行中に、足の裏の外側に重心が片寄って加わっていたのが、内側と外側に均等に重心が加わるようになり、O脚の程度に変化が見られるようになる。

2)外反母趾の治療

女性によく見かけられる外反母趾は、見かけ上、骨の異常のように見えるが、実祭には、第1指側の肝経の太衝が実証で引きつれて第2指の側に重なり合うようになる。また、第1指の脾経側の太白が相対的に虚証で弛緩している。臓腑弁証では、肝実脾虚証であり、臓腑の虚実が、それぞれの経絡上の原穴に、虚実の反応として現れたと推測される。
治療は、頭皮針の額傍1帯(中焦の肝胆脾胃)と頂聶(しょう)帯(前頂から頭維の線上)で、前頂寄りの1/3の部分に刺針する。体針では、太衝の瀉法、太白の補法にする。

3)爪の変形、変色、ひび割れの治療

巻き爪になる原因は深爪にすることであるといわれているが、爪の変形、変色、ひび割れ等の多くは、肝と爪との関係で、肝気鬱結で気血の流れが詰まって、爪を養うことができなくなって変化したものと考えられる。理論的には、肝血虚で養うことができず変形することも考えられるが、臨床上は肝気欝結証が圧倒的に多い。爪の治療は肝気欝結による詰まりを解いて肝血で爪が養われるようにすることである。また、深爪をしないことである。
治療は頭皮針の額傍1帯(中焦の肝胆脾胃)と体針の井穴の大敦、原穴の太衝と募穴の期門。耳ツボの肝、神門、問題のある爪の指の局所に相当するツボ。

4)猫背、腰の異常な前屈や後屈、脊柱側弯症、頸椎の変形の治療

治療は、頭皮針の百会から外後頭隆起間の「頂枕帯」上で、問題がある部位に相当する位置に刺針する。
体針では後谿を取穴する。後谿は督脈の8脈交会穴であり、太陽膀胱経と同名経である太陽小腸経であるので、脊柱上にある督脈や膀胱経に顕著な効果が出る。さらに委中の取穴を追加するとよい。頭皮針と後谿に置針した状態で運動針にすると、より高い効果が見られる。
脊柱側弯症では、骨の変形が目立つが、実際上の問題は筋肉の側にある。筋肉が攣れている側に脊柱が引き寄せられる。その反対側の筋肉は弛緩しているので、反対側に引っ張られることになる。これは、左右の筋肉の虚実の違いによる変形として捉えて、左右の兪穴あるいは華佗挾脊に補瀉手技を施して左右の均衡を回復させることで治療する。

 

 

「耳ツボによる痩身、美顔」

1)耳ツボ治療の特徴

  • 耳ツボによる治療は減肥治療として広く知られているが、実際には全身のあらゆる治療ができる。
  • 耳ツボの治療原理は現代医学と中医学の双方にあるので、複雑な面もあるが、適用範囲が広く便利である。中医学を基礎にして治療する場合は弁証論治を行うが、現代医学を基礎として治療する場合は、現代医学にそって取穴することもできるので、弁証論治が曖昧な人であっても、耳ツボ治療ができる。
    また、両原理を適当に組み合わせて取穴しても臨床上は問題がない。
  • 体針による経穴を使った治療は、虚実の弁証と補瀉手技が必要になるが、耳ツボ治療では、理論上は補瀉手技が必要と言えるが、臨床上は、植物の種を耳ツボにバンソコーで貼るだけなので補瀉手技は事実上できない。それでも、虚実に関係なく臨床効果が出る。その原理は、ツボが本来的に有する良性の双方向性の調節作用によるものである。言い換えれば、耳ツボ治療は、人体の自己治癒能力を最大限に引き出す能力があると言える。
    例えば、老人性のかなりの程度の難聴に対して、腎虚証と診断して、中医学的発想による「腎」と現代医学的発想による「内耳」の2穴の反応点に種を貼って、補瀉手技と関係なく、顔をしかめる程度の強さの圧刺激を加えたところ、数分も経ないうちに耳が聞こえるようになった。
    別の眩暈の事例では、脾の昇清作用の低下による眩暈と診断して、「脾」と「昇圧点」の2穴に種を貼ったところ、たちどころに眩暈が止まった。
  • 耳ツボによる治療は、厳密に取穴をする必要があるが、身体に針を刺す技術の習得に比べれば簡単である。
    弁証能力はそれほど厳密で十分でなくてもできる。場合によっては、現代医学を基礎にして治療することも可能である。患者に怖がられることがなく、痛みもそれほどでもなく、しかも簡便な治療で、即効性と持続性があり、体針の治療効果よりも、はるかに高い効果を出せる場合もある。耳ツボのエキスパートになって、耳ツボ専門店でもやっていける。

2)食欲のコントロールの取穴

飢点、渇点、胃、肝、神門
「飢点」、「渇点」は、本来的には、糖尿病などによる異常食欲や異常な口渇を抑制するために使われていたが、美容への関心が高まってくるようになって、美容に転用されるようになった。
「胃」は異常食欲の原因になっている胃熱を取るために取穴したものである。
「胃」の取穴は、胃に蓋をして、食物を入りにくくするという作用もあるので、喉が詰まって不快な感じがすることがあるが、それでも問題はない。
「肝」は肝胃不和などに対応した取穴である。また、やけ食いや精神的不安やイラつきをまぎらすために食べるのを防ぐための取穴でもある。
「神門」は食べるのを我慢していることによる精神的負担を軽減し、また、精神的安定を保ちやすいようにするための取穴である。この他にも、現代医学的取穴法もあるので、それを採用してもよい。

3)気滞や痰湿による浮腫み

肥満には、実質的な固太りの場合もあるが、ガスや水膨れによる浮腫みで、見かけ上、太っている場合が多い。それが、顕著に表れる部位としてはウエストである。本来的には、60cm程度であっても、ガスや水膨れがあれば、65cm以上になることもある。これは、その日の体調で増減するが、そのような余分な物がたまらない健康な状態にすれば、常に、60cm以下をキープすることができるようになる。
たとえば、ストレスが原因で、肝の疏泄作用の働きが悪くなると、その影響を受けて、脾胃の気機が乱れて気滞が発生し、腹部がガスで膨満してくる。また肝気犯脾になると、脾の水湿の運化作用が低下して、腹部はもちろんのこと、全身的に浮腫みやすくなる。肝気犯胃になると、胃熱が強くなり、異常食欲や便秘による膨満感や胃熱が胃経に沿って顔面に上ってきて吹き出物や顎関節症が発生しやすくなる。
このような場合は、肝、脾、胃、神門、消化器系統皮質下を取穴するとよい。また便秘をしている場合は、便秘点、大腸を追加取穴するとよい。
このような取穴で、腹部の膨満が取れて、顔面部や下肢の浮腫みや吹き出物も解消される。1~2回の治療では、その時の効果が良くても、そのうち、元の状態に逆戻りする可能性が大きい。肝気犯胃、肝気犯脾に歯止めをかけるような治療を継続すると、臓腑の働きが正常な状態に回復して、腹部の膨満感や全身的な浮腫みも根本的に解消されることがある。

4)脂肪の燃焼と特定部分の痩せ

筋肉運動によってのみ脂肪が燃焼するのであって、どのようなマッサージをしようとも、脂肪が著しく燃焼するようなことはない。また、痩せさせたい局所に針を刺して、電気的刺激を加えても、似かよった効果になる。
また長時間の局所のマッサージや刺鍼をしても、その部位の水の代謝が促進されたり、血行が良くなったりして、見かけ上、細くなる。
しかし、臓腑の働きが正常な状態に回復しない限り、時間が経てば、また浮腫みが出て元の状態に逆戻りするので、根本的には何も変わらない。
耳ツボ治療では、筋肉運動をした際に、脂肪の燃焼効率を上げるために、「丘脳」、「興奮点」を取穴するとよい。脂肪太りを痩せさせるための運動療法を効果的なものにすることができる。
部分痩せのためには、食欲、気滞、痰湿、脂肪等について上記した取穴による全身的減肥効果を、どの部位に誘導したいかによって局所取穴をすればよい。
たとえば、ウエストであれば、「腹」、ヒップであれば、「臀」、足には、「腓腹筋点」といった具合である。あまり局所取穴を増やし過ぎると、目標がぼやけて効果が低下する。

 

5)美顔の取穴

美顔の一般的取穴は、肝、脾、胃、肺、脳下垂体(脳垂体)、内分泌等である。
アレルギー体質の人には、腎上腺、過敏区を追加取穴する。さらに、体針の曲池、陰陵泉、三陰交を追加取穴するとよい。
老人班やシミ、色素沈着には、腎、丘脳、交感、促性腺激素点を追加取穴、 なお、紫外線による皮膚炎やシミには、体針の曲池、三陰交を追加取穴するとよい。
クマ、くすみには、心血管系統皮質下、耳尖を追加取穴
顔面の局所の相当する部位としては、面頬区のエリア内の反応点、上顎、下顎、額、眼等から反応点をチェックして取穴する。

 「耳ツボの裏ワザ」

耳は人体の縮図のようなものなので、取穴位置が1ミリ逸れても、身体では10センチ逸れたことになるかもしれない。耳針図に臓腑や手足の絵が描かれているが、その絵の部分に、適当に取穴すればよいと思われるかもしれないが、それは勘違いである。確かに、その絵の範囲内に、反応点が現れるということであるが、その範囲の中から、具体的な反応点を1ミリ以内の誤差で、正確に圧痛点や反応点を見つけ出して、そこに取穴すべきである。種を貼る際に、多少ツボからずれることがあるので、強い圧痛があるかを確かめる必要がある。圧痛が弱ければ、外れていることになるので、既に貼っている種の位置を爪を使って圧痛が強く出る位置に微調整することが、裏ワザになる。ツボの位置の正確さは10分の1ミリである。

 

美容鍼灸の弁証論治

*美顔の針治療 

内面的精神状態や健康状態は、顔面の表情や雰囲気に大きく影響して、その人の印象を決定的に左右することがあり、このことが美容上の最大のポイントになることもある。これまでの美顔の針治療では、個々の美容上の部分的な問題を治療することに関心が払われてきたが、全体的印象としての表情や雰囲気に関しては、治療対象としては、どうにもならない問題であるとして置き去りにされてきた。
美顔治療のポイントは、個々人の精神状態や全身的な健康上の問題からアプローチして、その人の体質に見合った治療をすることで、個性的な表情や雰囲気をもたらすようにすることが大切である。しかも、その表情や雰囲気を醸し出している美容上の個々の部分的な問題も同時に解決されてゆくようにすべきである。

 

*健康になることと美しくなることは同じこと

心身の健康のための治療と美容のための治療は本質的には同じことである。ただ、健康と美容のいずれの観点から治療するかの違いがあるだけである。
誰しも経験的に分かっていることであるが、精神状態や健康状態が悪い時は、表情や雰囲気もさえない状態になり、全身的にも浮腫んだり、皮膚の色が悪くなったり、美容上も、気になることが続出してくるものである。


*気虚証タイプの針治療

このタイプの人は、全身的観点からみると、エネルギー不足で、しかも、水湿の代謝も悪いタイプなので、何ごとにも、無気力で、消極的態度になり、まるで怠け者のようにみられる。このような精神状態は、生まれつきの性格であると思われているかもしれないが、そのように考えることは間違いである。また、顔面の美容上の問題として、上瞼が重くて垂れ下がり細目になる。顔面全体が浮腫んで、張りがなくなり、たるんでいるので、ぶよぶよした感じで顔が大きくなっている。また、ほうれい線も目立つようになる。いつも眠そうで、多汗で、めまいを起こしそうなくらい疲れた表情になる。
また、容姿とは別の問題もある。小声で頼りなさそうな話し方になるので、会話の内容はともかく、話が相手に伝っていないとか、会話での好印象が感じられないこともある。
上記したような表情や症状は、美容上の観点からすると、たとえ、本来の顔かたちが、いくらきれい人であっても、魅力にかけることになる。
この様なタイプの人も、針治療で、これらの症状を伴った気虚証の治療をすることで、全身にエネルギーが充填され元気そうな雰囲気になり、全身の水湿の運化が良くなって浮腫みがなくなり、全身の下垂傾向も改善されて、治療後には、イメージが一新されて、若々しい活発な雰囲気に変わる。
気虚証という証がなくなるまで治療を継続して気虚証体質が改善されると、一過性の変化ではなく、美容上の問題に留まらず、身体の方も根本的に元気になり、気力も充実してくる。身体と精神状態が健康的になり、その結果として、美容上も、魅力的な表情と雰囲気に変化し、個々の美容上の気がかりな点も具体的に改善されるようになる。

「虚証の弁証取穴」 合谷、足三里、内関あるいは太淵、太白、内関、 下垂症状が強い人には百会を追加取穴して補法を施す。内関を先に取穴して、軽い瀉法をして気の巡りをよくしておいてから足三里、合谷を補った方が、補法による詰まりを防ぐことができるので治療効果がよくなる。

「局所取穴による表示法」 美顔治療においては、顔面の局所に刺鍼しても構わないが、その治療効果は、限定的で一時的な場合が多い。実証タイプの局所治療は、ある程度、効果が期待できるが、虚証タイプの効果は薄いか、場合によっては、マイナス効果になることもある。弁証取穴と正確な取穴位置、適切な補瀉手技が治療効果の決定的要素である。

 

*実証タイプの針治療

アルコール飲料や甘いもの、生もの、油っこいものを過剰摂取し、しかも運動不足の人は実証タイプの痰湿証、湿熱証になる可能性が大である。この様なタイプの人も、虚実の違いがあるが、気虚証タイプの人と似通った水湿の停滞による症状が現れる。
痰湿証、湿熱証の弁証取穴 陰陵泉、豊隆、中脘、中極、頭維に瀉法を施す。

「治療効果」
 痰湿や湿熱邪が去邪されて、脾の水湿の運化作用が回復するので、全身の浮腫みや、たるみがなくなり、このことによる美容上の全ての問題点も消失する。
表情は、瞼が大きくあいて細眼が丸くパッチリ開いて、明るくて元気そうな表情に変わる。頬の浮腫みや弛みがなくなりリフトアップされる。また、ほうれい線も消えて引き締まった感じで小顔になる。さらに、くすみが取れて美白で色艶もよくなる。
顔面の美容効果に限定されることなく、足の浮腫みも取れて引き締まった感じがして、足が細くなり軽やかになる。中焦に停滞していた水湿やガスが消失するので、ウエストまわりの浮腫みや張りも取れる。
脾の昇清作用が正常に働き始めると、全身の下垂傾向が改善される。あるいは、痰湿の停滞による重みで、垂れ下っていた乳房がバストアップされ、また、垂れ下がっていたヒップもアップされることになる。全体的な体型や姿勢が整ってくる。

「美乳効果」
気血不足で、乳房が本来的な大きさよりも、小さくなっている場合は、乳房は胃経上にあり、また、脾胃と関係するので、足三里と三陰交を取穴して気血不足を補えば、病的に気血不足で小さくなっていた分は本来的な大きさになる。
気虚生湿による水湿の停滞での弛みや中気下陥による下垂した乳房は、足三里、陰陵泉への補法、中気下陥には、百会、合谷の補法を追加取穴することでバストアップされる。

「美乳のための補瀉手技のポイント」
上記したような経穴に補法をすると、胃脘部が詰まってくる感じがする場合がある。虚が原因で気滞や瘀血、痰湿が停滞している状態で補法をすると、それらの邪気が勢いを得て詰まって苦しくなることがある。臨床上は、虚証には補法をすべきだと考えるのは短絡的である。
内関あるいは間使に軽く瀉法をして、さらに置鍼して行気しながら、他の補法を必要とする経穴には、虚の程度に応じて、鍼尖の感覚が虚から実に変化するまで、3~10分間の補法をするとよい。あるいは、局所の乳房の周りへの刺鍼を省略しても、効果にはあまり影響しない。
痰湿や湿熱による実証タイプの弛みは陰陵泉、足三里あるいは豊隆、中脘の瀉法をする。
また、巨乳で垂れ下がっているタイプは、痰湿や湿熱が停滞していて重だるく疲れた感じがしやすい。このようなタイプは痰湿証や湿熱証として、全身的な治療をすると、去湿されて軽い感じになってバストアップされる。
なお、乳首に問題がある場合は、乳首は肝と関係があるので、太衝、期門を追加取穴するとよい。
生理前に、乳房が気滞で膨らんで痛みが出ることがあるが、やがて瘀血で固まりぺちゃんこになるような場合は、循経取穴による足三里と、内関あるいは間使、三陰交の瀉法で行気活血することで瘀血が緩み、その分だけ、柔らかくなり、ふっくらと膨らんでくる。なお、肝気欝結による瘀血が強いタイプには太衝、期門の瀉法を追加するとよい。美乳のための弁証取穴による治療は、乳癌の予防効果も期待できる。

 

*肝気鬱結証タイプの針治療 
このタイプの人は、ストレスが主な原因で、肝鬱気滞瘀血を起こして心身ともに詰まった感じになって広範囲にさまざまな症状を引き起こす。
その影響は、当然のことながら、美容上の問題にも直結してくる。
たとえば、精神状態は鬱々としてくるときには、気持ちが塞ぎ込んだり、また、イラついたりする。それが目つきや表情にも表れて、近寄りたくない雰囲気になることもある。
全身症状としては、肝気欝結で気血の流れが詰まっているときは、気血が巡らなくなるので冷え症になる。また、顔面は青白くなり艶がなくなり、ときに、眼の周りにクマができやすくなり、全体がくすんでくる。
また、気鬱化火、肝気上逆になると、気につれて血も上るので、足が冷え、頭顔面部がのぼせてくる。足が異常に冷えるが、顔面は赤ら顔になり、眼も血で白目が赤くなる。
このようなタイプの人は、生理痛がひどく、生理にともなって、イライラ感が強くなり、偏頭痛、顔面には吹きでもの、異常食欲、便秘、浮腫み等の症状が出やすくなる。
このような肝気鬱血を基本にした諸症状は、女性の大半の人が経験していることであり、身体や精神状態の問題であると同時に、美容上も厄介な問題が次々に起こってくる。
これは、美容上の問題というよりも、むしろ、生理不順や生理痛と関連した婦人科疾患である。また、ストレスが病因になっている精神科や内科的疾患でもあり、美容の問題は、これらの疾患の一部分であり、結果でもある。
したがって、美容上の治療は、美容上の観点を考慮しながら、これらの疾患の治療をすることで解決できる。これらの疾患の元になっているものは肝気鬱結証であることが多いので、この証の治療をすることで、これらの疾患の治療をすることができると同時に、美容上の広範囲な問題点も解決できる。
肝鬱気滞瘀血で、気血の流れが詰まって瘀血が形成されたり、詰まることで局所に栄養が届かなくなって、眼の周りのクマや顔全体のくすみが出現したり、皮膚があれたり、小じわができたりする。これに対して、眼の周りや顔面のあちらこちらに刺鍼してもかまわないが、ほとんど無意味である。肝心なことは、その原因である肝気欝結を解く治療をすることである。
そうすることで、美容上の問題も解決される。
「肝気欝結証に対する基本的な取穴」 太衝、期門、内関から間使への透刺、全て瀉法
肝気欝結による生理不順、生理痛、少腹部痛、仙骨部痛、また、くま、くすみ、しわ等には、三陰交を追加取穴するとよい。
「気鬱化火や肝気上逆」による、のぼせ、顔面紅潮、異常なイライラ感には、百会、風池を追加取穴
「肝胆火旺」による偏頭痛、耳鳴り、耳閉感、風池周辺の頚部の痛みや肩こり、こめかみの痛み、目尻の小じわ等には、風池、太陽、丘墟を追加取穴するとよい。
「肝火上炎」による眼の諸症状 眼の奥の痛みや眼精疲労、眼の乾燥と眩しさ、目赤、きつい目つきには、百会、風池、光明を追加取穴するとよい。
「肝気犯胃」による顔面の吹き出もの、異常食欲、胃痛、便秘、顎関節症には、内庭または足三里、中脘を追加取穴するとよい。
「肝気犯脾」による全身的な浮腫み、顔面の浮腫みやたるみ、ほうれい線、眼瞼下垂による細目には中脘、陰陵泉、豊隆、中極を追加取穴するとよい。

 

*腎虚証タイプの針治療 
更年期以降の女性、老人、慢性病の後期の人に腎虚証がみられる。また、少数ではあるが例外的に若い人であっても、腎虚証の人もいる。
美容上の問題においても、二十歳代後半頃から、腎虚によるもの、つまり、年だから仕方がないと考えられがちであるが、これは思い違いである。20代では、通常は、老化、つまり腎虚による美容上の問題は、ほとんどない。
人は皆、たとえば、30代、40代になっても、それぞれの年代に見合った年相応の顔に変化してゆくが、それ自体は自然なことであり腎虚によるものとは言えない。
これらの年代の美容上の大半の問題は、腎虚つまり、老化にともなう病的な変化は、きわめて限定的なものであり、むしろ、ストレス、飲食不節、睡眠不足、運動不足等の生活習慣病を引き起こしているような問題が原因であることが多い。
長生きをするようになった現代では、更年期から60歳代後半くらいまでの女性の美容上の問題は、腎虚、つまり老化の問題は根底にあるけれど、それ以上に、個人差があるが、若い人と同じように、生活習慣上の問題がより大きな原因になっていることが多い。
一般的に言って、60歳代後半から、美容上の問題は、日常の生活習慣上の問題が主な原因であることもあるが、それまで、潜在化していた腎虚、つまり老化が原因の美容の問題が表面化してくる。この場合には、腎虚証の治療にポイントを移す必要がある。「腎虚証の弁証取穴」
腎精不足、腎気虚には太谿、気海、腎兪
腎陽虚には太谿、関元(鍼灸)、腎兪
腎陰虚には復溜、腎兪
皺、くすみ、くま、シミ、白髪、禿等が、老化現象として徐々に進行してきた場合は、腎虚証として治療することになる。それで、老化の進行を食い止め、ある程度の若返りも可能になる。当然のことながら長期的には老化予防の治療には限界がある。
老化現象と思われているこれらの美容上の問題点も、実は別の原因であることも多い。
たとえば、高齢者では、老人斑として、徐々にシミができて増えてゆくことがあるが、若い人であっても、急にシミができることがある。これは、紫外線や各種の炎症の後遺症によることがある。同じシミであっても原因が異なるので、老人のシミは、腎虚証として治療するが、老化とは関係ない若い人のシミは、曲池や三陰交に瀉法を施して治療する。シミの治療は、日焼け等でシミ化することが予測される段階での予防的治療、老人性のシミの初期段階では良い効果が出ることもあるが、古くなったシミは、色を多少、薄くさせて目立たないようにすることができるが、シミそのものを完全に消失させることは難しい。
肝鬱気滞瘀血によるくすみ、くま、小じわは治療効果がよいが、老人性のくすみや皺、あるいは激やせに伴ってできた大きな皺は、治療効果は芳しくないが、長期間の治療を継続した場合、振り返って比較してみると、はっきりとした治療効果を見てとることができる。

 

「禿の治療」
高齢者の老化現象による禿は、腎虚証として根気よく治療してゆくと、髪の本数が著しく増えるというようなことはないが、髪の質が良くなり太くてしっかりしてくるので、抜け毛も少なくなり、外見上、目立たなくなってくる。
若い人の禿は、ストレスが原因で、肝鬱気滞瘀血による円形脱毛症や、アルコールの飲み過ぎや甘いものの食べ過ぎ、ストレス等による肝胆湿熱証によるものが多い。これらの治療は本人の原因に対する養生が必要であるが、治療効果は比較的に良い。
円形脱毛症の肝鬱気滞瘀血の取穴は、太衝、内関から間使への透刺、丘墟、百会、風池、局所への梅花鍼か散鍼 数回の治療で完治することが多い。
熱い汗で頭の毛根が蒸されて脱毛するイメージの肝胆湿熱証の取穴は、陰陵泉、太衝、丘墟、中脘、内庭、頭維、百会、風池。 肝胆湿熱証の改善の程度に応じて、また目安としては頭部の汗が少なくなってきたら禿の程度も改善されてゆく。

 

「手技のポイント」 
一般的に、補法の手技は、一穴につき5~10分間の捻転の補法を施す。あるいは針下の感覚が、虚から実の感覚に変化するまで手技を継続する。置針の必要性はない。このような補法をした時だけ、目に見える補法の効果が現れる。
数秒間の補法の手技をして、長く置鍼しても、気持ちは補法でも、客観的な補の効果はほとんど期待できない。
また、取穴の位置が大雑把で、経絡の走行や経穴の位置から逸れていると、治療効果はゼロか半分以下になってしまう。取穴の誤差は、経穴の入り口である皮膚面においては、1~2ミリの誤差の範囲内で正確に取穴しなければいけない。
神経を集中して、指で皮膚面をチェックしてゆくと、経絡は溝状に、経穴の位置は窪みになっているのを感じ取ることができる。数ミリの大きさの経穴の窪みの中に、1ミリくらいの経穴の穴を見つけて、その穴に正確に刺針するようにする。
経穴は気が出入りする穴であるので、経穴の穴に針を刺入すると、気の防御作用が働いて、一種の邪気である針尖に気が向かってくる。その時の気と針尖の衝突が得気である。
得気の感覚は、気が一種の気体であるので、液体のような粘さや重たさはなく、固体に当たった硬さでもなく、エアーブレーキを踏んだ時のふんわりとした感覚で止まる様(さま)に似ている。
得気の瞬間の感覚は、気が気体であるが故に、何かに当たったという感覚がないので分かりにくいので、細心の注意力が必要である。針を捻転すると、何かに絡まっているという感じが一切なくて、きわめて滑らかな感じがする。大きく針を捻転すると、軽くパルスをかけられているような感覚がするだけで、痛みや響きはしない。
得気の後、数分間を経ると、気が活発に動き始めるので、気に先導されて血も動き始める。
得血の感覚は、血は液体であるので、重い、粘る、しびれる等の感覚がし始める。
やがて、得血の感覚が現れると、経絡に沿って現れる経絡現象を体感できるようになる。
得気が得られるかどうかの誤差は0.1ミリ以下のこともある。得気を上手に得るには、ある種の哲学と集中力、繊細さが必要である。
針灸の手技は、経絡に流れている気に働きかけて陰陽五行を整えることである。つまり、針灸の手技の核心は調気である。
針灸は、大雑把な技術ではなく、繊細な職人的な技術が必要である。得血や得物ではなく、得気が得られると、刺針に伴う痛みや、いやな響きがなく、むしろ、気持ちの良い感覚がする。そのような時、治療効果も格段に良くなる。

痩身(減肥)

1痩身の目標

ファッションモデルのようなスリムな体型にあこがれている人が多いかもしれないが、それは、現代社会の固有の文化的背景の中で形作られた体型のイメージにしかすぎない。時代や国によって、その理想的体型は大きく異なる。
中医美容では、現代社会の中で規格化された体型を標準にして治療することはしない。
各個人の体質や健康状態を考慮して、その人の個性に見合った痩身の目安を設定すべきである。
あえて減肥治療をする必要がないと思われる健康的な体型の人が、ファッションモデルのような体型を希望される場合には、それが技術的に可能であっても、無理に痩せさせるような治療になることもあり、健康上、薦められない場合もある。

 

2減肥治療の現状

具体的な治療法としては、痩せたい部分に刺鍼して、電気的刺激(エステの場合はもみほぐす)によって局所の水はけを良くして局所の部分痩せをさせる。このような方法が一般的ですが、この方法により脂肪が分解して本格的に痩せるということは、あまり期待できない。
運動をして筋肉を使うことで脂肪が消費されるのであって、刺鍼してパルスをかけたり、(エステで揉んだりしても)、脂肪を分解させて、本格的に痩せさせるということはむつかしいようである。
この方法で、見かけ上、一時的に水はけがよくなって痩せるが、治療をやめると、元の体型に戻ってしまうことが多い。

 

3肥満の原因に対する治療 

肥満の主な原因は、食べ過ぎ、飲み過ぎと運動不足とストレスにあると言える。
過食は、単純に習慣的な場合と、食べたり、飲んだりすることで、欲求不満やストレスをまぎらすためという場合がある。後者は、やけ食い、やけ酒の範疇になる。これに対しては本人の努力でストレスを克服することが第一であるが、そう簡単にできるものではない。
また、食事制限やアルコールの摂取を制限する必要があることは、本人も、よく自覚している筈であるが、それを実行することは、なかなかむつかしい。
鍼治療で、精神安定をはかり、生理的にも我慢しやすくすることで、本人が食べ過ぎ、飲み過ぎに対して自己抑制しやすいように援助することがカギである。

  1.  ストレスが原因で、肝気犯胃になると、やけ食い、やけ酒タイプになりやすい。肝火が発生して、それが胃に飛び火すると、胃火が起こり、胃火により消化力がアップするので、食べ出すと止まらなくなる。
    必要以上に食べ過ぎた分は、痰湿となって皮下に貯まって肥満になる。
    肝気犯胃による異常食欲の治療は、太衝、中脘、内庭を取穴し、瀉法を施す。
    さらに頭鍼療法の胃区(実質上は中焦の肝胆脾胃の治療ができる)に刺鍼して雀啄の瀉法を施す。このような治療で、精神が安定し、異常食欲も落ち着き、食養生がしやすくなる。
    頭皮鍼による治療を単独で行ってもよい。
  2. 痰湿による肥満の治療は、内関、豊隆、陰陵泉、水分、天枢、足三里、中極を取穴し瀉法を施す。この治療で、脾の水湿の運化作用がよくなり、皮下に貯まっている痰湿  が除かれて、治療直後に、全身的に引き締まった細身になる。
    肝気犯胃証と痰湿証の取穴を結合させた治療を継続すれば、肥満症の根本的治療も可能である。
  3.  さらに、減肥治療には、耳ツボ治療の、飢点、胃、肝、神門、興奮点を取穴する。
    興奮点は、筋肉運度による脂肪の消費量をアップさせる効果が期待できるので、減肥の運度療法の効率が良くなる。
    特に痩せたい部分(たとえば、お腹、ふくろはぎ)があれば、耳ツボの腹、腓腹筋点を追加取穴する。
    飲酒を制限したい人には、耳ツボの酔点を追加取穴する。
    耳ツボによる治療は、即効性があり、また、治療を毎日、継続しているのと同じことになるので治療効果が良い。
    耳ツボ治療を単独で行っても良い。
  4. 胃熱が大腸に作用すると、便が乾燥して便秘しやすくなる。また、顔面部は胃経が走行しているので、胃熱の作用で顔面に吹き出物ができり、歯茎の出血や口内炎、さらに、顎関節症を起こすこともある。
    これらの病気や症状の治療は、異常食欲の治療である肝気犯胃の取穴と同になる。

中医美容

はじめに

美容の第一のポイントは何でしょうか。美容上の根本的な問題は、内面的な精神状態や健康状態が目つきや表情に現れるということです。

イライラして怒りっぽい目つきをしている人や、頭痛がして、気むずかしい表情をしているような人には、例え、きれいな人であっても、近寄りたくないものです。

お世辞にも美人とは言えないような人であっても、明るくて、とても魅力的な印象がして人気のある人がいます。また、美人タイプの人であっても、暗くて、冷たい印象がして、敬遠されがちな人もいます。

外見上の、あれこれの部分的な美容の問題が一般的には注目されますが、健康的で、やさしい心を持っているかどうかが、美容の本質です。されど、外見上の気になるところを何とかしたいと誰もが思うのも無理からぬことです。

中医学では、心と体をセットにして人間まるごと治療する体系になっていますので、身体、心、美容の治療も、同時に、まとめて治療することになります。

美容に関する具体的な治療法は、表示法である局所的治療で、持続的効果を発揮できるというものは限られています。

魅力的な表情にしてほしいからと言って、顔面に、いくら鍼を刺しても意味がありません。顔面の表情の問題であっても、それは結果であり、原因はストレスによる精神的緊張や不安定、あるいは、体調不良であったりします。

原因に対して治療をする必要があります。それには、ストレスを解消し精神的安定感を取り戻す、あるいは、体調を整えるという全身的観点からの治療をします。

表情の問題に限らず、痩身、美顔、美乳、体型の問題についても、局所的な問題であって、局所治療が効果的な場合は局所に刺鍼することもしますが、心や身体の病気、老化の問題等がより根本的原因になっている場合は、局所治療をすることよりも、これらの原因に対する治療がより大切です。

原因に対する治療では、専門的な言い方になりますが、弁証取穴をして補瀉手技をします。

弁証取穴はツボの位置も局所ではなく、ほとんど遠隔取穴になります。そんなわけで、顔面に一本も刺鍼することなく、美顔の治療をする場合もあります。このような治療法は、原因に対する根本的な治療にポイントを置いていますので、顔面や局所に、山のように鍼を刺す治療法よりも、治療効果も高く、根治する可能性もあります。

 

湿熱証

1インポテンツ、前立腺、頻尿、慢性腎炎
2慢性的疲労感、禿げ、アルコール中毒

3花粉症、アトピー性皮膚炎、アレルギー性の喘息、慢性鼻炎とアレルギー体質

4帯状疱疹、頭重、梅雨や台風の影響による全身的重だるさ

5脊柱官狭窄症、足腰の重だるさと熱感

6黄斑変性、飛蚊症、目やに

1~6の疾患や症状は、一見、関連性がなさそうに見えるが、全てが、中医学でいう「湿熱証」である。

湿熱証の病因の第一は、湿熱の原料である酒の飲み過ぎである。また湿邪の原料となる甘いもの、脂っこいもの、生もの等のとり過ぎもよくない。湿熱証の治療に不可欠なことは、過度の飲酒や食事内容に気をつけることである。

湿熱証の共通穴は陰陵泉であり、さらに症状や病の程度により、内庭、足三里、豊隆、中脘、中極、各経絡の五兪穴の体重節痛を主る兪穴等を必要に応じて追加取穴する。

 

症例1インポテンツ、前立腺肥大、頻尿、慢性腎炎

上記の4つの病気や症状の病因と治療法は、ほとんど同じである。

弁証は、半世紀ほど前までの食量難で栄養不良の時代には、腎陽虚証が一般的であったが、飲み過ぎ、食べ過ぎの現代では、弁証は下焦湿熱証が一般的である

下焦湿熱証の取穴は、陰陵泉、中極、次膠、さらに中脘、水分、足三里を追加取穴しても良い。

手技は、程度に応じて、30秒~2分間の手技を30分間に2~3回の瀉法を行う。

治療効果は、インポテンツでは、即効性が見られることが多く、飲酒、食事に気を付けて、週に2~3回の治療を数週間続けると治癒する可能性が大である。

慢性腎炎の弁証は腎陽虚証、脾気虚、下焦湿熱証があるが、現代では、圧倒的に下焦湿熱証が多い。慢性腎炎の治療では、腎炎そのものが、にわかに治癒するわけはないが、腎炎に伴う諸症状は、驚くほど改善することがある。透析を始める直前の段階まできている場合は厳しいが、その前の段階であれば、腎炎そのものも改善されてゆく可能性もあり、透析をしなくて鍼治療でコントロールできる場合がある。

 

症例2 慢性的疲労感、やる気が出ない、眠たい、頭重、まぶたが垂れ下がる

慢性的疲労感は気虚証によるものと考えられてきたが、飲み過ぎ、食べ過ぎの現代では、湿熱証の実証タイプの方がはるかに多い。このタイプの症状は、酒を飲み過ぎて全身的に、けだるい感じがして何もしたくないという状態に似ている。このタイプの人は、ゴロゴロして休んでいても症状は好転しない。むしろ適度の運動をして汗を出すなどして発散させた方が楽になる。

湿熱証タイプに対する取穴は陰陵泉、足三里、豊隆、中脘、頭維、四紳聡

 

症例3禿げ

禿げのタイプは、老化現象である腎虚証、中気下陥(脾の昇清作用の低下)、気血不足、肝欝気滞瘀血(瘀血証)、肝胆湿熱証がある。

老化現象の腎虚証による禿げは、男女を問わず、老化に伴うものであるので、病的禿げとは言えないが、腎虚証の治療すれば進行を遅らせることができる。さらに細くなり弱々しそうになった髪の質が一本一本しっかりしてくるので、髪の本数が増えなくても、禿げが目立たなくなる。

円形脱毛症はストレスによる肝欝気滞瘀血タイプであり、良く見かけられる。肝欝と局所の治療をすることで、良好な結果が出る。

中気下陥、気血不足による禿げは、頭部に栄養が届かず禿げるタイプである。気血を補い、頭部に栄養が届くようにすれば、やがて髪が生えてくる。

現代で、もっとも多い禿げのタイプは、肝胆湿熱証である。この証は、頭部が熱くて汗が多い。比喩的な表現をすれば、お湯で毛根が蒸されて髪が抜けるということになる。

湿熱の原料であるアルコール等を控えること、ストレスの発散解消をすることが養生法のポイントになる。

肝胆湿熱証の取穴は、陰陵泉、足三里、中脘、太衝、期門、丘墟、風池、百会、頭維、四紳聡 肝胆湿熱証そのものが好転してきたら、禿げの方も好転し始める。

 

症例4花粉症

アレルギー体質による花粉症、アトピー性皮膚炎、アレルギー性の喘息、アレルギー性の慢性鼻炎に共通するものは湿熱証と衛気不固である。

花粉症で、鼻から出てくる大量の生温かい鼻水は、脾胃で作られ、肺に貯まっていた湿熱邪である。

涙は脾から肝に移行した湿熱邪が眼から溢れ出てきたものである。

湿熱証タイプの人は、脾胃で作られた湿熱邪により脾の昇清作用が阻まれる湿熱中阻になる。その結果、肺に栄養が届かなくなり、肺気不足、衛気不固になる。

衛気不固タイプの人は、自動車の排気ガス等がくっ付いた花粉や黄砂等の外邪に侵襲されやすく花粉症を発症する。このような湿熱証と衛気不固がない人は、外邪に対する防御作用が働いているので花粉症にはならない。

治療はアルコールを始めとして湿熱邪の原料となるような食物を控えることが養生法のポイントである。

花粉症の鍼治療は、脾胃湿熱証に対しては陰陵泉、豊隆、さらに、足三里、内庭、中脘、水分、中極を必要に応じて追加取穴する。

鼻水には、標示法として上星と列缺の瀉法、肺兪の先瀉後補。 涙には、太衝、風池

鼻水鼻ずまり。

涙の治療は即効性があるが、病院の薬を服用していると、鼻づまりの治療に対しては無効の場合がある。

花粉症はアレルギー体質が元にあるので、アレルギー体質が改善されない限り、簡単に治癒することはない。

しかし、アレルギー体質は湿熱証と衛気不固であるので、鍼治療で、湿熱証と衛気不固が改善されると、花粉症も臨床的治癒する。現代医学では、一度、花粉症になれば、花粉症は治癒することはないということになっているが、鍼治療で、臨床的治癒は可能である。

 

症例5アトピー性皮膚炎

花粉症は、湿熱邪が鼻水、涙として溢れ出てくるが、アトピー性皮膚炎は、湿熱邪が皮下に貯まる。

また衛気不固もあるので、乾燥した冬季は風邪に先導された燥邪に侵襲され、皮膚表面はカサカサに乾燥して耐えがたい痒みになる。一方、皮下は湿熱邪でジクジクしている。

夏季は、暑邪に侵襲されて皮膚表面が、熱感を伴ってジクジクして耐えがたい痒みになる。また皮下も湿熱邪でジクジクしているので、熱いお湯につかっているような感じになる。

痒みの治療は、合穴の曲池を取穴して去風する。約2分間の瀉法の手技を、30分間の置鍼時間中に、2~3回、施す。痒みに対しては曲池1穴で即効性がる。また、三陰交、血海、膈兪等を取穴して活血すると、風邪が滅び痒みが消える。

アトピー性皮膚炎の湿熱証の治療は、上記してきた疾患の取穴に順じたものになる。

また長期化した場合には、陰虚湿熱証になることがある。その場合は復溜を取穴する。

またストレスが加わると症状が悪化する。そのような場合は、太衝、内関、風池、百会を追加取穴する。

経過が長く重症のもの、花粉症、アレルギー性の喘息等を併発しているアレルギー体質の強いタイプの人は、治療は長期間になるが治癒することがある。

 

症例6帯状疱疹(ヘルペス)

ヘルペスは、現代医学の治療で、見た目には、きれいに治るが、神経痛が後遺症として残り、痛みが解消されないことがある。鍼灸で治療すると、神経痛が残ることがなく完治する。

ヘルペスの治療は鍼灸の適応症である。

ヘルペスは、湿熱証であるので陰陵泉を取穴する。肝胆湿熱証の場合は、体重節痛を主る兪穴の足の臨泣、中渚、太衝で去湿する。さらに、局所の状態に合わせて、梅花鍼を使うか、鍼で線状に、あるいは面に散鍼を施す。

 

症例7脊柱管狭窄症

脊柱管狭窄症には、いくつかのタイプがあるが、共通していることは下焦湿熱証である。

下焦湿熱証の取穴は後谿の運動鍼、委中、陰陵泉、中極、次膠、局所取穴である。

腎虚証があるタイプには補腎する。腎気虚、腎陽虚、腎精不足には太谿、腎兪、懸鐘、 腎陰虚には、復溜、腎兪、懸鐘を取穴する。

病気の経過が長く重症のものは治療期間も長くかかるが、一般的には、短期間の治療で臨床上の治癒をすることが多い。

 

症例8黄斑変性、飛蚊症

黄斑変性、飛蚊症は共に、肝胆湿熱証である。老化が進行したり経過が長くなった場合は陰虚湿熱証になる。

肝胆湿熱証の取穴は、陰陵泉、太衝、光明、風池、天柱、攅竹から睛明に透刺、絲竹空から太陽に透視、 肝腎陰虚には、曲泉、復溜に5分間以上の補法

黄斑変性、飛蚊症のいずれも、週に2~3回の集中治療をすると、はっきりとした治療効果をやがて確認できるようになる。

瘀血証(おけつしょう)

1.  交通事故、労災事故、スポーツ等による骨折や外傷による傷害の外科手術後のリハビリは、通常のリハビリの必要がないくらい鍼治療で驚くほど短期間に回復させることができる。

2.  乳癌、子宮癌の外科手術での癒着による引きつり、痛み、浮腫や卵巣嚢腫の手術の後遺症である不妊症、その他の外科手術全般の後遺症は鍼治療の得意分野である。

3.  ぎっくり腰、椎間板ヘルニア、五十肩、肩こり、捻挫、打撲、突き指、腱鞘炎

4.  心筋梗塞、きりきり痛む胃痛

5.  目の周りにできるクマ、顔面のくすみ

6.  生理痛

上記の1から6の疾患や症状は、何の関連性もないように見えるが、中医学的解釈では、全てが血の流れが停滞しているという意味の「瘀血証(おけつしょう)」ということになる。

瘀血証(おけつしょう)の治療は行気活血の治則になり、取穴は間使、三陰交。手技は瀉法で、程度に応じて30秒から2分間の手技を約30分間の置鍼時間中に2~3回行う。

このような瘀血証(おけつしょう)に対する共通した治療で、上記した疾患や症状を治療することができる。さらに、各疾患や症状に応じて、局所取穴や井穴の取穴、郄穴の取穴、弁証取穴、特効穴等を用いることがある。さらに、耳ツボ、頭皮鍼、眼鍼が効果的なことがある。

 

症例1 乳癌で乳房の全摘手術の後遺症として、局所のひきつれ、違和感、重度の浮腫

取穴 間使、三陰交、陰陵泉、尺沢、(瘀血には、間使、三陰交、湿邪の停滞による浮腫の治療には肺の宣発粛降作用、脾の水湿の運化作用を運用する必要があり、尺沢、陰陵泉、豊隆を取穴)さらに、 耳ツボの乳腺、神門、肝、脾、胃、肺を取穴

この治療には、軽度のものは一回、重度のものは4~5回の治療が必要である。

 

症例2 卵巣嚢腫の手術の後遺症で、卵管が癒着して不妊症

手術による卵管の癒着は瘀血証(おけつしょう)に相当するので、間使、三陰交の取穴。さらに卵管の癒着部位は、解剖学的には、奇穴の子宮穴の付近の圧痛点になるので、そこに局所取穴するとよい。4~5回のシンプルな治療で卵管の癒着が解けて、妊娠可能の状態になり、その後、赤ちゃんと、ご対面できたこともある。

 

症例3 労災事故で5本の指を切断、指は手術をしてくっついたが、指が全く動かず、氷のように冷たく、感覚がない。通常のリハビリの効果はゼロであった。

取穴は間使、三陰交、各指の井穴、耳ツボの指、神門、頭皮鍼の手に相当する部位

治療は2回に分けて、2日連続治療、計4回の治療で職場復帰して仕事ができるまでに回復した。

 

症例4 眼の周りの目立つ青色のくま

ストレスが原因の肝鬱気滞瘀血による「くま」

取穴は、間使、三陰交、太衝、さらに、八卦の理論による眼鍼療法の肝の区域に刺鍼 数十分間の置鍼後には、あまり目立たない程度の薄いくまになった。

 

症例5 ぎっくり腰

ぎっくり腰は劇症タイプの腰痛で、よく見受けられる。

鍼治療の臨床効果が高いので、迷わずに来院してください。

取穴は間使、三陰交。また、後谿の運動鍼による治療で完治する場合が多い。鍼が怖くて、嫌だという人には、耳ツボの反応点と神門に正確に取穴すると、耳ツボだけでも、高い治療効果を出すことができる。

 

症例6 五十肩

本格化した五十肩は、夜間痛もあり、数年間くらい厳しい状態が続くことが多い。

鍼治療では、局所のツボに灸頭鍼をするのが一般的治療法であり、その効果は標準的なものである。

当治療院での治療法は、陽明胃経の足三里の下1寸(陽明大腸経の肩髃の痛み)、太陰脾経の三陰交(瘀血が強いタイプ、太陰肺経の肩前の痛み)、太陰脾経の陰陵泉(湿邪が強いタイプ、太陰肺経の肩前の痛み)、太陽小腸経の後谿(太陽小腸経の肩貞や天宗の痛み、頚部の督脈、太陽膀胱経に反応がある)の運動鍼。さらに、耳ツボに相応する局所のツボ、神門を取穴。この治療法は、即効性と治療効果の持続性があり、完治する期間を大幅に短縮できる。

「肩こり」の治療も、五十肩の治療に順じて行うことができる。

症例7 生理痛

生理前に痛みや症状が出るタイプは実証である。実証の生理痛には、内関あるいは間使、太衝、三陰交を取穴し、瀉法を施す。また、内関一穴でも、生理痛の治療はできるが、全体的な症状等を総合判断すると、3穴で治療した方が良い場合が多い。

適応疾患の中医学的解説と治療内容

「低血圧症」「嗜眠」「「めまい」「無気力」「慢性的疲労感」「自汗」「眼瞼下垂」「顔面のたるみ」「乳房のたるみ」「胃下垂」「脱腸」「脱肛」「子宮下垂」等の諸症状は、全て中医学でいう「脾の昇清作用の低下」「中気下陥」と言われる下垂傾向に伴う病証として捉えて、現代医学の病名や症状、あるいは、何科であるか、美容の範疇になるかどうかに関係なく、下垂傾向に対する治療をすることで、一括治療できる。
また、このような病名や症状に対しては、種類に関わらず、同様の治療をすることができる。
このような病気や症状は全て「脾の昇清作用の低下」あるいは「中気下陥」という中医学的診断である「証」になる。治療穴は、この証に対応する百会、足三里、合谷になる。手技は、各穴に5~10分間の補法
この様な治療をすると、手技を終えたころには、はっきりと好転しはじめたことを確認できる。もし即効性がでなければ、診断を間違えた、取穴位置が正確でなかった、得気が取れていなかった、補瀉手技が適切でなかったということになる。
軽症であれば、一回の治療でよくなることもあるが、慢性で、重度の場合は、治療後しばらく良好な状態であっても、後戻りすることがあるので継続治療が必要になる。

症例 35歳の女性

主訴 数年前から、低血圧に伴う頭の血が下がるような中程度の目眩、随伴症状として嗜眠傾向、自汗、眼瞼下垂、顔面のたるみ、疲労倦怠感、無気力感

取穴は百会、足三里、合谷、手技は各穴に5分間の補法、4回の治療で、ほぼ治癒

4回目の治療の際、耳ツボの脾、升圧点正確に取穴(誤差は1ミリ以下)した。漢方薬の種を、強い圧痛が出る点に微調整しながら絆創膏で貼り付けた。その直後に、頭顔面部が温かくなって、頭の中に血が満ちてきた感じがした。めまいぽっさがなくなり、頭がすっきりし、顔色が明るくなり、眼もよく見えるようになった。

適応疾患

*男性科

1インポテンツ 2禿げ 3前立腺 4禁酒、アルコール中毒、禁煙のサポート

*婦人科

1子宮癌、乳癌の手術の後遺症による浮腫みやひきつり 2卵巣嚢腫の手術の後遺症による不妊症 3冷えのぼせ 4外反母趾 5膝の内側の痛み 6生理前の片頭痛、季肋部や下腹部の痛み、イライラ感、吹き出物 7更年期障害 8子宮筋腫

*産科

1つわり 2流産の予防 3逆子 4難産(無痛分娩) 5産後の体力の回復 6乳腺炎 7母乳の不足 8腰痛

*老人科

1認知症、不眠症 2尿失禁 3骨粗鬆症  4足腰が頼りない、動作が遅く鈍い 5難聴、耳鳴り 6唾が出ない 7皮膚のかゆみ 8兎糞状の便秘 9足のほてりや冷え

*内科、精神科

1慢性的疲労倦怠感 2記憶力とひらめきがよくなる、脳の疲労感がなくなりいくらでも頭に詰め込めるようになる 3イライラ感や 落ち込み、無気力感がなくなり精神安定する 4癌治療の抗癌剤、肝炎に対すインターフェロンの副作用の苦痛を大幅に軽減できるので治療を継続できる 5慢 性腎炎や人工透析による症状を緩和する 6アトピー性皮膚炎、喘息、慢性鼻炎、花粉症の治療とアレルギー体質の改善 7うつ病 8不眠症、嗜眠 9脳梗塞 の後遺症による半身マヒは、リハビリの必要がなくなり早く回復する 10肥満症、メタボ 11糖尿病 12低血圧症、高血圧症、貧血 13風邪が治りにくい、風邪を引きやすい 14冷房病 15めまい、頭痛 16慢性の下痢あるいは便秘 17脱腸、脱肛、子宮下垂、眼瞼下垂、胃下垂 18多汗症 19頻尿、尿失禁 20甲状腺機能亢進症、眼球突出、甲状腺機能低下症 21帯状疱疹 22心臓病 23胃痛、腹痛、細菌性の下痢 24痔
*外科、整形外科

1パソコンによる頚肩の凝りや指のシビレ、眼精疲労 2骨折や外科手術後のリハビリ期間の大幅な短縮、骨折や様々な手術後の神経痛様の痛みやひきつり、シビレ
3打撲、捻挫、突き指 4腱鞘炎、バネ指 5股、膝、足、肩、肘、手、指等の関節痛やシビレ 6頚椎症、むち打ち、肩こり、五十肩 7脊柱側弯 症、脊柱管狭窄症、ぎっくり腰、椎間板ヘルニア 8坐骨神経痛 9リュウマチ 10 肋間神経痛、肩甲骨間部の背中の痛み 11顎関節症 12顔面麻痺  13多発性硬化症 14線維筋痛症

*五感器、皮膚病 

1黄斑変性、網膜色素変性、緑内障、眼の奥の痛みや重さ、飛蚊症、ストレスによる視力低下、眼の乾燥やまぶしさ、眼精疲労、眼赤 2ストレス性の突発性難聴 3鼻炎、蓄膿症、鼻血 4湿疹、吹き出物、ニキビ、かゆみ、乾燥肌
*美容 

1表情を魅力的にする 2眼に輝きが蘇みがえる、まぶたがぱっちり開くようになる 3くま、くすみ、こじわ、ほうれい線を取る 4顔面の皮膚の色を明るくし、張りと潤いを持たせる、たるみを取りリフトアップする 5全身の浮腫みやたるみを取る 6美乳、豊乳
7食欲を生理的に抑制する、精神安定させてコントロールしやすくさせる 7全身的痩身と希望する特定部位をやせさせる 8脂肪の分解を促進させる  9背筋を伸ばして姿勢を調える、全身の筋肉を柔軟にしてしなやかにする 10髪や爪の質を良くする 11かすれ声、重たい声、金きり声の改善

 

適応症については、実際の治療法を含めて、随時紹介してゆきます。また、患者さんからの問い合わせや相談にも、できるだけ個別にお答えしてゆきます。